その土地物件が市街化区域にあることを確認したら、次にその土地の「用途地域」を確認します。
用途地域とは都市計画法により、都市の環境保全や利便の増進のために、地域における建物の用途に一定の制限を行う地域のことです。
さまざまな用途の建築物が無秩序に混在することを防ぎ、地域ごとに合理的な立地規制、用途規制をしようとするものです。
つまり、その土地の用途地域により建てられる建物の大きさが制限されるんです。
具体的に言えば用途地域に応じて、建物の大きさを制限する「建ぺい率」と「容積率」というものが定められており、その制限を超える建物は建てられないんです。(「建ぺい率」と「容積率」については次にページで説明します)
用途地域は全部で12種類に区分されます。
以下、簡単に12の用途地域を説明します。(Wikipediaより引用)
第一種低層住居専用地域
低層住宅の良好な住環境を守るための地域。
床面積の合計が50m²までの住居を兼ねた一定条件の店舗や、小規模な公共施設、小中学校、診療所などを建てることができる。
例として、2階建て程度の戸建て住宅・アパート主体の住宅地。通常コンビニも建てられない。日用品・日常生活のための小規模な店舗兼用住宅が点在する程度。
第二種低層住居専用地域
主に低層住宅の良好な住環境を守るための地域。
150m²までの一定条件の店舗等が建てられる。
例として、第一種低層住居専用地域の例に加え、コンビニなどの小規模な店舗などがあるもの。
第一種中高層住居専用地域
中高層住宅の良好な住環境を守るための地域。
500m²までの一定条件の店舗等が建てられる。
中規模な公共施設、病院・大学なども建てられる。
例として、3階建て以上のアパートやマンションがある住宅街など。
店舗が目立つようになる。
第二種中高層住居専用地域
主に中高層住宅の良好な住環境を守るための地域。
1500m²までの一定条件の店舗や事務所等が建てられる。
例として、第一種中高層住居専用地域の例に加え、小規模のスーパー、その他やや広めの店舗・事務所などがあるもの。
第一種住居地域
住居の環境を保護するための地域。
3000m²までの一定条件の店舗・事務所・ホテル等や、環境影響の小さいごく小規模な工場が建てられる。
例として、中規模のスーパー、小規模のホテル、中小の運動施設、その他中規模の店舗・事務所などがあるもの。
第二種住居地域
主に住居の環境を保護するための地域。
10000m²までの一定条件の店舗・事務所・ホテル・パチンコ屋・カラオケボックス等や、環境影響の小さいごく小規模な工場が建てられる。
具体例としては、郊外の駅前や幹線道路沿いなど。アパートやマンションがあり、大きめのスーパーや商業店舗・事務所などがあるもの。
準住居地域
道路の沿道等において、自動車関連施設などと、住居が調和した環境を保護するための地域。
10000m²までの一定条件の店舗・事務所・ホテル・パチンコ屋・カラオケボックス等や、小規模の映画館、車庫・倉庫、環境影響の小さいごく小規模な工場も建てられる。
具体例としては、国道や幹線道路沿いなどで、宅配便業者や小規模な倉庫が点在するような地域である。
道路沿いの住宅街に倉庫を建てさせたいという目的で設置された用途地域とも言える。
車庫について規制解除された他は第二種住居地域に準じている。
近隣商業地域
近隣の住民が日用品の買物をする店舗等の、業務の利便の増進を図る地域。
ほとんどの商業施設・事務所のほか、住宅・店舗・ホテル・パチンコ屋・カラオケボックス等のほか、映画館、車庫・倉庫、小規模の工場も建てられる。
延べ床面積規制が無いため、場合によっては中規模以上の建築物が建つ。
具体例としては、駅前商店街である。小さな商店がたくさんある状態から、中規模以上の商業施設まで有り得る。
商業地域
主に商業等の業務の利便の増進を図る地域。
ほとんどの商業施設・事務所、住宅・店舗・ホテル・パチンコ屋・カラオケボックス等、映画館、車庫・倉庫、小規模の工場のほか、広義の風俗営業および性風俗関連特殊営業関係の施設も建てられる。
延べ床面積規制が無く、容積率限度も相当高いため、高層ビル群も建てられる。
具体例としては、都心部の繁華街(東京の歌舞伎町、名古屋の栄、大阪のキタやミナミなど)やオフィスビル街(東京大手町、名古屋駅前、大阪駅前など)など。
都心回帰により、近年は商業地域に高層マンションなども建設されている。
工場関係以外はほぼ何でも建設可能な地域である。
住宅を商業地域で取得した場合、いきなり隣にラブホテルができてしまうという例もある。
準工業地域
主に軽工業の工場等、環境悪化の恐れのない工場の利便を図る地域。
住宅や商店も建てることができる。
ただし、危険性・環境悪化のおそれが大きい花火工場や石油コンビナートなどは建設できない。
工業地域
主に工業の業務の利便の増進を図る地域。
どんな工場でも建てられる。
住宅・店舗は建てられる。
学校・病院・ホテル等は建てられない。
例えば、大規模な工場の隣に社員寮やスーパーがあるような状態など。
工業専用地域
工業の業務の利便の増進を図る地域。
どんな工場でも建てられる。
住宅・物品販売店舗・飲食店・学校・病院・ホテル等は建てられない。
福祉施設(老人ホームなど)も不可。
住宅が建設できない唯一の用途地域でもある。
簡単に言えば、京浜工業地帯などに代表される湾岸地域などである。
石油コンビナートや製鉄所などの環境悪化の可能性が大きい設備が設立されている地域である。
また、花火工場などの危険性が極めて大きい工場もこの地域に建設される。
以上が12の用途地域です。
住宅は工業専用地域以外ならどこでも建てられます。
上から順番になりますが、第一種低層住居専用地域が建物の制限が最も厳しく、商業地域が最も緩やかです。
言い換えれば第一種低層住居専用地域は建物の制限が厳しいかわりに、閑静な住宅地となります。
商業地域は建物の制限は緩やかですが、近隣にどんな建物が建つかわからないといった具合です。
この12の用途地域によって建物の建ぺい率や容積率といった制限が決まってくるんです。
ちなみに私の家の土地は第一種低層住居専用地域に該当します。
規定の建ぺい率と容積率は建ぺい率が40%、容積率が80%です。
ただし、私の家の土地は角地なので建ぺい率が10%緩和されて50%になります。
ですから、私の家の土地の建ぺい率と容積率は建ぺい率が50%、容積率が80%です。
敷地面積が50坪ですので、
建築面積は 50坪 × 50% =25坪
延床面積は 50坪 × 80% =40坪
つまり、私の家の土地には建築面積25坪、延床面積40坪までの家しか建築できないんです。
あなたが検討している土地物件の用途地域がわかれば、その用途地域で定められている「建ぺい率」と「容積率」がわかります。
そうすれば、どの程度の家まで建築できるかがわかるんです。
それでは、次のページで「建ぺい率」と「容積率」について詳しく見ていきましょう。